2008年8月28日 (木)

環境変化

 商品のサイクルというのは短い。

 ボクが以前に勤めていた会社にはマーケティング部門というのがあって、そこには商品開発を専門にやっている連中がいた。彼らに話を聞くと、食品や飲料で5年後に生き残れる商品は100に3つくらいしかないという。まさに「数打ちゃ当たる」というヤツで、売れようと売れるまいと、次から次から機関銃のように商品を出すのが仕事だと話していた。

 しかし、個々の商品の寿命はともかく、ライフスタイルや消費構造の変化で、特定の事業分野がすっかり衰退してしまうことがある。したたかな企業は、そんな市場のトレンドを読み切って、新しい柱に軸足を移している。

 最近テレビで驚いたのは『スキンケア化粧品アスタリフト』のCM

 Ffnr0210_01松田聖子と中島みゆきの取り合わせも新鮮だったが、「富士フィルムが化粧品?」とびっくりしてしまった。まったくの異分野かと思いきや、これは写真フィルムの主原料であるコラーゲン研究で永年培った高度な技術の成果らしい。

 考えてみたら、すでにデジカメの時代に入って久しい。ということは、従来の銀塩式フィルムの需要は激減しているはずだ。

 この会社は、フィルムに将来性がないことをかなり前から読み切っていたのだろう。そして主力商品を上手にメディカル製品やフラットパネルディスプレイ材料にシフトさせて、体質改善を実現させた。そして今も増収増益を続けている。

 市場の波を予測するのは難しいが、いくら優れた商品でも永遠に売れ続ける保証はない。環境の変化についていけない企業は淘汰される。自社の将来を見据えた中長期ビジョンが重要である。

 さて、この二人の女性ミュージシャン。はたして環境変化に対応しているのだろうか。

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2008年5月 3日 (土)

ダイヤバンク

 宝石の原価率はどれくらいか知っていますか。

 宝石屋のショーケースに並んでいる100万円のダイヤモンド。その仕入れはだいたい3割前後らしい。えっそんなに儲かるの?と思うかもしれないが、店を構えるにはある程度の在庫が必要で、それに毎日そんなに売れるものでもない。なかには何年もホコリをかぶったまま流行遅れになるものだってあるから、素人が思うほど楽な商売でもない。

 日本のジュエリー業界といってもあまり自分には縁のない世界だが、その市場規模はバブル期で年間2兆7千億円、今でも1兆2千億円の売上げがあるという。

 数字を小さくすると、日本の家庭には平均150万円ほどの財宝が眠っている。もう身につけることもないから処分してもいいのだが、質屋では他人の目が気になるし、リサイクルショップだと買い叩かれると思って、箪笥の奥に放置されたままの死蔵品が多いらしい。

 ある宝石の販売業者がこれに目をつけた。貴重な資源を家庭から安く回収して、再利用するというのだ。多少の化粧直しは必要だろうが、それでも間違いなく3割以下で仕入れられる。

 いったん流通から外れて眠っている資産に再びスポットライトを当てるこのビジネス。着眼点はいい。そして今、エリア毎に代理店を募集し始めている。ブティックなんかの片隅に看板だけ置くらしい。代理店にはネズミ講のような初期投資もない。

 これに知人が一枚噛むことになった。うまくいくのだろうか。ノーリスク・ハイリターンでうますぎる話なのだが、ちょっと気をつけて見守りたい。

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2008年4月27日 (日)

撤退する勇気

 このところ電機メーカーの事業撤退に関するニュースが多い。

 この1ヶ月ほどだけでも、東芝のHD-DVD、三菱電機の携帯電話、日立マクセルのDVD生産、リコーの光ディスク、パイオニアのプラズマパネル生産と、まさに撤退オンパレードといった状況。

  赤字ならやめればいいと部外者は簡単に思うが、この撤退というのは難しい。工場の閉鎖、従業員の解雇から下請け先の取引停止など影響は計り知れない。しかも責任論まで浮上して、これがなかなか厄介なのだ。

 会議にかけたら必ず継続論が出てくる。これを抑えて後ろ向きの意思決定を下すのには、新規事業などに比べて数倍のエネルギーを要する。

 今から15年ほど前に、ボクはある中堅ファーストフードチェーンの経営の一翼を担っていた。バブルに踊らされて投資の大きい店ばかり作ったものだから、直営80店舗のうち3分の1が赤字。それらを切り捨てて残った店だけで堅実に経営すれば充分黒字が出るのだが、退店すれば保証金の放棄や、店舗資産の除却など巨額の損失が出る。そして当時のわが社には、残念ながらそんな大手術に耐えられる体力はなかった。

 その店を閉めていくら赤字が改善するのか、またいくら特別損失が出るのか、その優劣について喧々諤々の議論を重ねた。そして結局は、毎年の決算数値を見ながら数店ずつ閉店していった。今振り返ればもっと荒療治ができなかったかとも思うが、あの頃はそれが精一杯だった。

 今回の報道を見ていると、他人(ひと)事とは思えない。そして、あえて各社がこの時期に相次いで撤退の英断を下したということは、そこまで土俵際に追い詰められているということ。関係者のご苦労をお察しする。

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2008年2月28日 (木)

命名権

 今年のタイガースの公式日程を見ていると、高校野球に甲子園を明け渡す8月に”京セラD”というのが何度か出てくる。

 これは大阪ドームのこと。一昨年から命名権を京セラが買って、この球場の名称は”京セラドーム大阪”になった。略して”京セラD”。この名前をはじめて聞いたときは、京都に新しい球場でもできたのかと思った。かつてのタイガースが『死のロード』中に西京極球場(京都)を借りてホームゲームをしていたことも、勘違いの理由かもしれない。

 施設命名権(ネーミングライツ)は1970年代にアメリカで生まれた。国からの補助金が減ったため、公共施設(とくに4大プロスポーツ施設)が安定収益を求めて急速に広がったのだ。

 何でも売って商売にしてしまうお国柄である。これを誰かが日本に持ち込んで、5年前からオリックスの本拠地が”Yahoo!BBスタジアム”という耳慣れない名前に変わった。妙なネーミングだと思っていたら、わずか2年で契約が切れて、落ち着きのないYahooは福岡ドームへ。そしてこの神戸の球場のほうは、その後”スカイマークスタジアム”という名前に。

 仙台楽天の本拠地も、今年から”クリネックススタジアム”(以前はフルキャスト)になる。企業の不祥事での中途解約も多く、あまりコロコロと呼び名が変わるといたずらに混乱を招くだけ。

 せめてスポンサー名と一緒に地名を入れるなどしてほしい。これでもかと企業名や製品名を大書するよりは、それとなくサラっと入れるほうが奥ゆかしく好感度が高いと思うが如何。

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2008年2月27日 (水)

とらやの羊羹

 久しぶりに『とらや』の羊羹を食べた。

 大阪で羊羹といえば『駿河屋』だが、東京では『とらや』。高価なことでも有名で、ズッシリ重たい羊羹の2本セットが1万円。ボクが以前に勤めていた会社の近くに本店があって、手土産というと、よくここの羊羹を使ったものだ。

 自腹で買うことなどないが、たまに到来物を口にすることはある。看板商品の『夜の梅』などはかなり濃厚で、薄いのを1枚食べたら充分。

 先日週刊誌で読んだここの社長の話が面白かった。

 創業500年。老舗の味は昔から変わらないと凡人は思うが、実はそうではない。老舗の味を維持する秘訣を聞かれて「老舗だからこそ毎年味を変える」と答えている。さらに「老舗が同じ味を守るには、日々変わるお客様に常に美味しいと感じてもらわねばならない。そのためには、変わったと気づかせずに変わり続けることが大切」ともいう。

 今の世の中、変化は早い。豊かになり便利になり、目も舌も肥える。甘い和菓子が美味しいと言われる時代もあれば、甘さ抑えめが評価されるときもある。 そうした中で常にお客様に満足していただくためには、その時々の味覚に合わせて羊羹の味も少しずつ変えていかねばならない。

 この謙虚さが大切だと思う。結局は売れるものが優れた商品で、その価値は市場が評価するのだ。けっして作り手の自己満足で終わってはならない。

 いち早くトレンドをかぎ分けて商品に反映させるというのは商売の基本。それにひきかえ、伝統の味とやらにこだわり続けて衰退していく老舗がいかに多いことか。

 事業が続くこと。それは「お客様に愛され続ける努力」の積み重ねだと改めて思う。

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2008年1月24日 (木)

株安と円高

 このところ新聞を開けると、株安と円高の話ばかり。

 自分とて多少は株も外貨も持っているから、あまりうれしい話ではない。

 株式投資歴は20年近い。もちろん大きな金額は動かしようがないし、短期の利ザヤを追い求めることもしない。

 松下幸之助翁の「株は投機ではなく投資の手段。イヌを飼うのと同じく、その会社が好きで応援するために株を持つ」という言葉を平素から肝に銘じている。だから、滅多に株式欄も見ないノンキな投資家である。

 今持っているのは、トヨタ、キャノン、ソニー、新日鉄、東京電力の5銘柄。いずれも日本を代表する錚々たる企業。大化けはしないだろうが、よもや紙屑になることもあるまい。優良企業をいくつか組み合わせて、日本株式会社の株主になった気でいる。もうこうなれば、この日本丸とは一蓮托生。

 どの会社も業績自体は悪くないのに、アメリカの株安・ドル安のあおりを受けて、大きく株価を下げた。まさに対岸の火事が飛び火してきたようなもので、株式の時価総額が400兆円割れと言われても、紙切れだけの話だからピンとこない。

 外貨建ての投資信託も毎月少しずつ買い続けているが、こちらもこの2ヶ月で大きく目減りした。為替や経済の勉強にと思って始めたのだが、しばらくは様子見がいいかもしれない。

 気に入らないのは、このところの日本の政治家の発言があまりにも無責任なこと。たしかに今回の引き金はアメリカのサブプライム問題だが、だからといってこのまま放置しておいていいはずがない。ここまで外国人投資家の日本売りが進んだのは、日本の金融政策が見えないからだ。

 いまだに「経済は一流、政治は三流」である。

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2008年1月12日 (土)

パナソニック

 昨日の日経の1面見出し。
 「JFEとIHI、造船統合へ・国内首位、シェア2割に」

 これを読んで何のことかすぐに分かる人がどれくらいいるだろう。

 JFEというのは、NKKと川崎製鉄が合併してできた会社。このNKKは、さらにさかのぼると日本鋼管。またIHIというのは石川島播磨。みんな戦後の日本を引っぱってきた重厚長大型の基幹産業の代表格ばかり。それがみんな揃って西洋かぶれの体たらくはどうしたことか。

 何でこんなにみんな横文字が好きなのか。まだカタカナは許せるが、無味乾燥なアルファベットを並べただけの社名にはまったく親しみが持てない。海外市場を向いているというならば、外向けの社名だけ使い分けたらいい。

 最近でこそ慣れてきたが、UFJという銀行の名前も理解に苦しむ。おまけに大阪にはUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)というのもあるから、紛らわしいことこのうえない。利用者からみたら「みずほ」や「さくら」(なくなってしまったが)というような大和言葉のほうがずっと覚えやすい。

 年末に経済誌で読んだ桃屋の社長の話が面白かった。

 めまぐるしく変化する市場で、半世紀以上、社名もロゴも変えずに守り続けているのが桃屋。グローバル時代のビジネスモデルとは一線を画し、長い間の顧客の信頼に応えるために、味にこだわり、広告キャラクターも変えない。その頑固さは、社長自らのブランドに対するこだわりによるものらしい。

 激動する時代に対応して変化することも大切だが、逆に不変ということも信頼を勝ちえる大切な要素かもしれない。いいものは時間を越えて変わらないのだ。「動かざること山の如し」

 同じ昨日の新聞で、あの松下がパナソニックに社名変更するという記事を読んだ。パナソニックなら認知度が高いから、知らない人はあるまい。しかし、あのナショナルブランドが消えるということには、ちょっとした感慨を持つ。

 ひとつの時代が終わった…というような。

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2007年9月11日 (火)

個人向けIR

 IRというのは企業の株主向け広報のこと。

 以前は事業内容をサラリと説明するだけだったのが、最近は個人株主に照準を合わせて細やかなIR活動を行っている会社が増えてきた。

 個人株主を本格的に安定株主として取り込もうという戦略なのだろうか。株式市場全体でみると個人の持ち株比率は2割弱だが、団塊世代など中高年の長期保有が増えてきていて、どうやらこの層を大切にしようということのようだ。

 前にも書いたが、個人が株を金儲けの手段と考えるのならやめたほうがいい。株を持つというのはイヌを飼うのと同じように、その会社が好きでその会社のサポーターになるということ。当然長期保有が望ましく、目先の上がり下がりに一喜一憂すべきではない。

 会社を理解してもらうには、新製品を提供したり工場見学に招いたりして、いつも関心を持ち続けてもらうことが重要。そして個人では実現できない大きな夢を株主にも共有してもらうことが、IRの目ざすべき方向だと思う。

 バランスシートの資本の部を大きく分けると、資本と利益になる。このうち利益は損益計算書から計算される儲け。つまりそれは、顧客を対象にした営業活動の成果を示す。それに対して資本はIR活動の結果としての数値といえる。

 モノ言う株主で日本中が大騒ぎしてからまだ1、2年。個人株主の意識は変わってきたのだろうか。

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2007年8月22日 (水)

値段の話

 昨日、なるほどと感じ入った話をひとつ。

 場所はある地主さん宅の応接間。数人で 350坪ほどの宅地の有効活用を検討していた。ディベロッパーが提案するテナントはお酒の安売りチェーン店。規制緩和で北摂を中心に急成長している会社である。

 テナントが入れる保証金で地主が建物を建てて賃貸する『リースバック方式』というヤツ。月額家賃が120万円だというから、ボクは電卓をはじきながら、
「家賃の計算根拠を教えて下さい。坪単価は近隣相場からみてどうなんですか?」と聞いてみた。

 返ってきたのは意外な答えで、
「相場は関係ありませんよ。まずこの場所で市場調査して、いくらの売上げが見込めるかを計算します。店の損益から家賃を逆算して、どれだけの家賃なら採算がとれるかをはじき出すのです。」

 なるほど!頭をガツンとやられた思い。おっしゃる通りで正論である。相場なんて関係ない。いくらなら自分の算盤が合うかという話なのだ。

 我々はふだん買い物をするときに、店が勝手につけた売値なるものに惑わされてはいないか。その売値は原価に利益を乗せて、売り手が一方的に決めたもの。買い手の利用価値からみた価格はそれとは別にあるはずで、我々はその自分のモノサシで高いか安いかを考えなければならない。相手の土俵に乗ってはいけないのだ。

 ブランド品のバーゲン会場などで、定価の半額だのと驚喜するのは愚の骨頂。もともとの値づけが高すぎるのだから、その異常な値段に惑わされてはならない。

 そういうボクも、アウトレットなどに行くとついつい財布のヒモがゆるむ。反省しなければ~

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2007年8月18日 (土)

ガソリン銀行

  このところアメリカの住宅ローン不安で株が急落し、円相場は急騰している。

 いつも思うことだが、企業の収益力や国の経済力とは何の関係もないところで、株価や為替は動く。わずかながらも株や外債を持っている身としては心中穏やかではないが、あまり短期の変動は気にしないことにしている。

 原油価格の高騰で、給油するたびにガソリンが上がっている。ボクなどはせいぜい月に1、2回だからさほど負担にはならないが、運送会社やタクシーなどは死活問題だろう。

 先日、中央道のSAでガソリンが妙に安かった。あとで調べたら、高速のGSは週1回しか値段を変えない(もっと前は月1回だったとか)らしい。こういうところは、コスト意識の低いお役所仕事の置き土産なのだろうか。

 半年ほど前の車の情報誌に『ガソリン銀行』というのが紹介されていた。聞きなれない名前だが、アメリカ・ミネソタ州の会員制ガソリンスタンドの話である。

 会員になって前金でガソリンをまとめ買いする。価格が変動しても、購入日の価格が通用するのがミソ。値下がりしたときは他店を利用すればいい。先物市場を利用したビジネスとして注目を集めているらしい。

 ここで買ったガソリンは、生涯のうち好きなときに給油すればいい。つまり安いときにまとめ買いができるのだ。1ガロンが1ドルを切っていたころに大量買いをした人たちは、現在のガソリン高騰もどこ吹く風だという。

 この会社が会員に購入時のガソリン価格を提供できる理由は、いうまでもなく先物市場の利用。安いときにガソリンの先物を買って、将来の値上りをリスクヘッジする。アメリカのガソリン価格はしばらくは高騰が続き、1ガロン当たり 5ドルくらいまで上がるとの観測もある。

 今、大阪近辺のGSの多くは値上げを続け、1リットル 150円台に迫る勢い。石油元売り各社が、輸入コストの上昇を理由に卸価格を引き上げたからだ。しかし 2006年3月期には元売りの多くは史上最高益を上げていたはず。いったいその収益はどこに消えたのか。こんなときに還元してくれたらと一庶民は思う。

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2007年7月26日 (木)

閉店セール

『閉店セール』『売りつくし』なんていう看板をよく見かけるが、本当に店を閉じたという話はあまり聞いたことがない。

 子供の頃、近所の婦人洋品店に『閉店セール』と書かれた薄汚れた紙が何年も貼ったままになっていた。いつ閉めるのかと誰かが店主に訊ねたら「そら毎日店のシャッター閉めるわ。翌日また開けるけどな」と親父さんがおどけて答える。たしかこの店が本当に閉店するときは『完全閉店』という貼り紙に代わっていた。

 こういうのも一種の化かし合いかもしれないが、実害もないから役所が不当表示だと動く気配もない。だいたい誰も本気で信じないのだろう。

 数年前に松坂屋大阪店が閉店した。ボクはこの手のバーゲンセールは苦手なのだが、このときばかりは何度も足を運んだ。

 ここは子供の頃から馴染みの店で、高校の通学路の途中にあった。さまざまな思い出が凝縮されていて、最後の姿をまぶたに刻んでおきたいという思いもあってのことだ。

 バーゲンに詳しい女性によると、まずは2割引くらいから始まって、3割、5割と進み、最後は7割引まで行くかどうかだという。それでも残った生鮮食料品などは、運が良ければ10割引、つまり「ご自由にお持ち下さい」となる。どうしても欲しいブランド物などは、3割から5割引あたりで思い切って買うのがコツだとか。  P1m_2

  そんなことを思いながら車を走らせていると、結構面白い看板に出くわす。大阪のド真ん中にも、すごい看板をあげた靴屋がある。
     「倒産セール!」
     「もうあかんやめます!」
     「格差社会を是正せよ。身長の格差は当店で」

 ちなみにこの店は、ボクが学生時代から30年近くも倒産セールを続けているが、いまだに健在である。

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2007年6月25日 (月)

株と為替と金利

 このところ株高が続いている。

 しかし輸出関連株やハイテク株が平均株価を押し上げていて、内需はあまりパッとしない。ボクも勉強のためにと思って5銘柄ほど持ってはいるが、あまり熱心な株主でもない。たまに株式欄を見て上がっているとうれしいが、さりとて売るつもりもないので儲かったという実感もない。身銭を切ってこそ教材ということで、実体経済を少しでも体感するための投資である。

 円安も少し行き過ぎのような気がする。

 若い頃に先輩に勧められて主要5ヶ国の外貨預金をしていたことがあった。わずかな外貨でも、持っていると為替の動きが気になるものだ。10年ほど前にすべて処分してしまったが、それ以来外国為替にもトンと興味がなくなった。今では海外旅行に出かける直前に見るくらいのものだ。

 専門家は、円安の原因は欧米と日本との金利差だという。つまり低金利の円で資金を調達して、高金利の通貨で運用するから外為市場が混乱する。だから日本の金利を早く正常化しないと円安には歯止めがかからない。

 しかし日銀は利上げを渋っている。参院選を控えていることもあるだろうが、ここで安易に金利を上げたら回復基調にある景気の先行きが危ない。ボクも今の日本経済はこれ以上の利上げに耐えられるほど底固くないような気がする。

 株と為替と金利、みんな連動していて、金融政策の舵取りはなかなか難しい。

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2007年6月 9日 (土)

バーガーキング

 バーガーキング(BK)が日本に再上陸。昨日新宿に1号店を開店した。

 この名前は懐かしい。BKがはじめて日本市場に参入したのは1993年。ちょうどボクがハンバーガー業界に入った翌年のことだった。

 すでにアメリカへ視察出張をしていたから、どんなものかは知っていた。直火で焼いてほどよく油を落とした肉に野菜をはさんだ直径13センチの大型バーガー。自分の好みにも合うし、これは難敵だと思った。

 そのときは西武鉄道と組んで首都圏に出店した。品川の1号店がオープンした日に並んで食べたが、たしかに美味かった。

 割高な価格で伸び悩んでいるうちに、マクドナルドが100円バーガーで市場をかき回してしまう。そして安売り競争に巻き込まれて、数年後に撤退を余儀なくされた。

 アメリカで2割のシェアを誇る巨大ブランドで、商品力も飛びぬけている。でもマーケティング戦略でつまずいた。このときボクは元の大軍を押し返した神風を連想した。

 捲土重来を期す今回のパートナーは企業再生に命運がかかるロッテリア。ちょっと心配である。でも早く大阪にも出店してほしい。前回はライバルとして複雑な思いで見ていたが、今回は純粋に消費者として楽しませてもらおうと思う。

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2007年5月 8日 (火)

定年延長

 だいたいどこの会社でも定年は60歳。

 しかし、年金の支給年齢引き上げや団塊世代の退職による労働力の急減を背景として、昨年、高年齢者雇用安定法が改正された。

 これによって、段階的に雇用延長が義務付けられ、最終的には65歳定年になる。
 しかしそもそも、定年を延長して高齢者に仕事を提供するのがいい社会なのだろうか。経済的な不安がなければ、60歳でリタイアーして優雅な老後を楽しむほうが幸せかもしれない。でも、その定年後を年金で暮らせるほど今の世の中は甘くない。

 日本マクドナルドみたいに、いきなり定年制そのものを廃止した会社もある。年齢ピラミッドがどうなっているのか知らないが、60歳を越えた社員が店舗での仕事をこなすのは肉体的に厳しいだろう。

 多くの会社の現場で、年寄りの知恵や経験を活かせる仕事はそんなに多くはない。だから、本心ではこの雇用延長を迷惑に感じている会社が多いはずだ。当人にしても、給料を何分の1かに減らされて、昔の部下にアゴで使われたらそれこそ面子も丸つぶれだ。

 近ごろ、若手社員に対してさまざまな能力開発をするのが流行りだが、本当は出世コースを外れてやる気を失ったベテラン社員を再活性化することのほうが大切ではないか。雇用延長に備えて、シルバー予備軍を戦力化しておくことが急務だと思う。

 そうしないと、会社の中は、捨て扶持をもらって窓際で日なたぼっこする年寄りばかりになってしまう。

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2007年4月23日 (月)

資産運用

 今日はちょっと資産運用の話。

 とはいっても、そんなにうまい儲け話があるわけではない。

 日本人の平均貯蓄額は1千万円ほど。すぐに出ていくお金は普通預金に入れておくとしても、当面使う予定のないお金をどうしていますか。

 株はコワイ。外貨預金はもっとコワイ。だから結局は、ほとんど金利もつかない普通預金に入れたままという人が意外と多くて、統計では日本の個人金融資産の半分以上が預貯金に偏在している。預貯金はたしかに元本保証だが、それは貨幣価値が変わらないことを前提としたリスクヘッジ。インフレで物価が上がれば、元本保証も意味はない。

 もう忘れた人が多いだろうが、今から30数年前の狂乱物価の時代。人々はトイレットペーパーまで買い漁り、昭和49年には消費者物価が23%も上がった。たった1年でお金の価値が4分の1近く目減りしたのだから、預貯金だけで資産保有していた人は大きな打撃を被ったはずだ。

 世界を見渡すと、発展途上国にはこうしたインフレが蔓延している。今でも覚えているが、ブラジルから帰任した先輩が、彼の国ではわずか1ヶ月でも驚くほど物価が上がるから、給料日に日持ちのするモノは何でも買って蓄えておくという話をしていた。札束は単なる紙切れで、目に見えるモノを握っていないと安心できないという言葉には妙に説得力があった。

 資産運用は分散投資が基本。さまざまの金融商品を組み合わせて運用することによって、リスクは回避できる。脅かすわけではないが、100%預貯金というのはちょっと危険である。

 それじゃオマエはどうしている と聞かれたら、その先は答えないことにしている。資産管理や投資は自己責任が原則だから。

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2007年4月21日 (土)

スタバな午後

 子供たちが出かけてしまったので、妻とランチに出かけた。

 帰りに駅前のスターバックスへ。カウンターで何を頼もうかと迷っていたら、アルバイトの女の子が、
「今日のおススメは、パプアニューギニアのコーヒー豆です」という。
「エッ!そんなコーヒー聞いたことないな・・・」
「テイスティング(試飲)いかがですか」

 ということで小さな紙コップに入れてもらって試してみた。彼女はボクたちの反応を見ている。
「サッパリしてるでしょ・・・」
 あまり分からなかったけど、面倒臭くなって
「ウンそうかな。じゃ~コレのSサイズを2つ」

 コーヒーを淹れながら彼女は、
「これからどこか行くんですか?」と聞く。
「ランチの帰りよ」と妻が笑う。

 もちろん彼女とは面識もなく初対面。そして、この接客マニュアルのないフレンドリーな応対がボクは気に入っている。店の奥の客席は友人宅のリビングみたいで、外人客が屯(たむろ)している。

 日ごろコンビニやファミレスの画一的な受け答えに慣らされているだけに、予期せずこういう普段着の応対をされると心が温まる。コーヒーの美味しさもあるけれど、このホスピタリティーこそがこのチェーンが日本でこれだけ支持されている理由だと思う。

 ボクの知人でスタバの常連がいる。仕事の日は必ず、オフィスの1階に入っているスタバに行くらしい。彼がカウンターに立つと店員が「いつものヤツですね」とカフェミストを作り始める。夏の暑い日なら「今日もホットでいいんですか」と訊ねてくれるという。

 あまり距離を詰められても鬱陶しい。でもこれくらいだと都会の朝の孤独を埋めるにはちょうどいいと、ハードボイルドなことを彼が言っていた。

 なるほど・・・今度マネしよう!

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2007年4月 2日 (月)

入社式

 あちこちの会社の入社式風景がニュースで流れている。

 社長が訓示を垂れて、新入社員たちが緊張の面持ちで聞いている。

 テレビで順番にアップになる新人たちの顔を眺めながら、彼らの10年後、20年後の姿を想像していた。さらには定年を迎える頃には彼らがいったいどうなっているのだろうと、ちょっと意地悪なことを考えていた。

 就職というのは、会社という大きな船に自分の人生を託すること。そして、みんなで力を合わせて大海原のはるか彼方の宝島を目ざす乗組員の一員になることだ。

 しかし、悲しいかな個人の力では抗(あらが)いがたいこともある。羅針盤が壊れたら漂流するし、暴風雨で沈没することもあるだろう。大船といっても屋台骨が腐っていることもあるから安心はできない。何十年も先のその会社の浮沈など、誰にも予想できない。

 振り返れば、日本の産業構造も大きく変化した。
 ボクたちが就職した昭和50年代前半には、戦後の日本経済を牽引した鉄鋼・繊維・造船は輝きを失って、金融や商社に勢いがあった。業績も良かったし給料も高かった。でも、まさかその銀行業界に金融再編の嵐が吹き荒れるとは思いもしなかった。大手都銀に就職したものの、音信不通になってしまった友人もいる。経営破綻した山一證券で出世頭だった同級生は、もうこの世にはいない。

 終身雇用が半ば崩壊したこのご時世で、会社と心中するなんて生き方はもう流行らない。会社は自分の能力を磨く場だと割り切ったほうがいい。大きな組織に安住して無為な時間を過ごすよりは、時代を読み取る感性を研ぎ澄ませて自分の将来を考えたほうが賢明だ。
 もっとも、ボクたちよりもずっとドライな新人類たちは、そんなことは百も承知かもしれないが・・・

 人生の道のりは平坦ではない。
 4月2日、高村光太郎の連翹(れんぎょう)忌に寄せて、
 「僕の前に道はない。僕の後ろに道は出来る。」という『道程』の一節を、新社会人に贈る。

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2007年3月16日 (金)

進化するクルマ

 そんなにクルマが好きなわけでも、詳しいわけでもない。

 でも、仕事ではほぼ毎日クルマに乗っている。家のクルマはふだんは妻が使っていて、タマの休日にはボクもハンドルを握る。どちらも 5、6年くらいのサイクルで買い替えるが、同じグレードのクルマでも驚くほど進化している。

 4年前に仕事で使うクルマを買い替えたとき、キーレスエントリーシステムがついていた。今でこそ軽自動車にも標準装備されているが、鍵穴にキーを挿すことなく開錠や施錠ができて、雨の日や荷物があるときはとても重宝する。

 昨年買い替えた家のクルマは、キーを携帯して始動ボタンを押すだけでエンジンがかかって、「おはようございます。今日は○月○日です」としゃべり始める。ガス欠にならないように、直前の平均燃費とガソリン残量から走行可能距離を自動表示してくれて、まさに至れり尽くせり。

 ボクが免許をとったのは今から30年前のこと。自動車教習所はマニュアル車だけ。半クラッチなんていう特殊技術も教わって、コワゴワ坂道発進の練習をさせられた。

 当時のカローラクラスにはエアコンもなかった。新入社員の営業実習は小売店の巡回訪問。真夏でも先輩はスーツを着ているから、こちらも脱ぐわけにはいかない。むせ返るような狭い営業車に乗ると、汗が背中までしみ通る。パワーウィンドウすらなく、取っ手をグルグル回して窓を開けていた。

 その後、オートマチック車が一般化していく。サイドミラーがボタン一つで自動格納されるようになったのもその頃だった。今となっては当たり前だが、カーナビの登場は衝撃的だった。人間の知恵はとどまるところを知らない。

 今のクルマは、走行性能も居住性も快適そのもの。そして最後に行き着くところは自動走行だろうか。でもそうなるとドライバーは要らなくなる。技術革新は、結局われわれ人間を退化させるだけかもしれない。

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2006年11月 2日 (木)

会社の名前

 最近、仕事上の必要があって、新聞の株式欄を頻繁に見ている。

 ボク自身はこれまでほとんど株をやった経験がないので、株式欄などいつも読み飛ばしていた。だから、ボクみたいな生半可な知識で読みこなすのはなかなか骨が折れる。

 それにしても、あの細かい活字の中からお目当ての会社を探し出すのは苦労する。まずは業種がよく分からない。だから最近は『会社四季報』を手元に置いて、まずその会社の4桁の番号を確認してから株価を調べることにしている。

 ひと口に上場会社と言ってもほとんどの会社は名前も知らない。名前を聞いても何をしている会社なのか見当もつかない。

 結構苦労するのは1年前の株価との対比。合併やら株式分割、増資などがあると単純比較ができないから厄介だ。社名変更も多くて、会社の番号を確認しないと見落とすことがある。

 ジャスダックあたりの新興市場に目を向けると、カタカナの会社が多い。最近はCI(コーポレート・アイデンティティ)戦略とやらで会社の名前がどんどん横文字やカタカナに変わっていく。やっぱりそのほうがカッコいいし、若い人に思いが伝わりやすいのだろうか。

 漢字はそのままの形として記憶に残るがカタカナは忘れやすい。明治生まれの祖父はカタカナの覚えられない人で、外国人の名前や外国の都市などを「漢字で書いてくれ」と言っては幼いボクを困らせたことを思い出す。輪廻は巡る。またいつの日か漢字の社名が流行る日がくるだろうか。

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2006年7月20日 (木)

ゼロ金利解除

 日銀がゼロ金利政策の解除を発表した。

 大手銀行はいっせいに短期プライムレートを引き上げる検討に入った。短プラといっても一般の人にはあまり縁がないが、銀行が企業向けの貸し出しをする際に基準となる最優遇金利のことで、ここ数年は下がる一方だった。

 預金者には朗報だが、借金している人には利上げはこたえる。変動金利型の住宅ローン金利も上昇する見通しで、ゼロ金利解除は企業業績や個人生活にも影響が出てくる。

 全銀連は「現状で景気が過熱しているわけではないし、貸し出し需要も力強く回復してはいない」と慎重な立場。やんわりと日銀の利上げにクギを刺している。

 ボクも同感だが、もう少し大きな声で言ってほしい。大企業は史上最高決算だとかで浮かれているが、われわれがふだんお付き合いしている中小企業からは、まだ景気回復の足音は聞こえてこない。先週会った人は、昨年3億円借金して賃貸マンションを建てた。1%金利が上がると支払利息は年間300万円増える。つまり、毎月の返済が25万円増える。1室8万円強の家賃だから3室分。今回の利上げは持ちこたえられるとして、この先まだ一段の利上げは確実。今のうちに固定金利に借り換えるハードな交渉をするかどうか、難しい経営判断を迫られる。

 われわれも、長年の低金利にちょっと慣れすぎた。今の金利が低すぎることは百も承知だが、いきなり明日から上げると言われてもなぁ・・・ 甘やかされてぬるま湯で育つと後がコワイ。ちょっとこれから、大変なことになりそうな予感がする・・・

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2006年6月27日 (火)

辞任すべきか・・・

 日銀の福井総裁に対する風当たりが、だんだん強くなってきた。

 当初は擁護していた政府関係者の言い回しも微妙に変化してきたし、昨夜の報道ステーションの世論調査だと、辞任すべきだとする回答が76%に達している。

 ゼロ金利政策の旗振り役がファンドでこんなに儲けては、一般国民の納得は得られないということのようだ。

 ただ、その一方で、運が悪かったと気の毒にも思う。だいたい村上ファンドがこんな形で破綻を迎えようとは、いくら頭のいい人でも想像だにしなかったに違いない。

 しかし、振り返って、この福井総裁は、どの時点でどうすればよかったのだろうか。

 日銀を離れていた時期に、村上ファンドに1千万円出資したことは何ら問題ない。民間人が自分の金を自らの責任で運用することは、違法でも何でもないはずだ。

 それでは、日銀総裁に就任した時点で売却すべきだったのだろうか。もちろん中央銀行のトップたる者、特定の投資ファンドに肩入れすることなど許されることではない。しかし、それまでに保有していた株式やファンドをすべて解約処分して一切の関係を断ち切ることまで強制すべきだろうか。その時点で元本割れしているリスクもあったはずだ。

 閣僚には資産公開制度がある。日銀総裁にも同様の制度を設けて、在任中は第三者機関が管理し、一切の処分を凍結させる、または処分には一定の手続きを踏ませるという透明なルールを作ったらどうか。

 村上ファンドの違法行為には、福井総裁はまったく関与していないはずだ。それなのに、なぜこんなに世間から非難されるかといえば、儲けすぎたからだ。しかし、投資時点では村上ファンドもまださほどの実績がなかったから、福井氏にしたら、新興ベンチャーへの支援という程度の気持ちだったのではないか。それが、この1,2年の間に急成長して、世間の注目を集めるようになってしまったのである。

 たしかに儲けすぎ・・・ でも、これは結果論。ボクは、この問題の本質は、制度自体の欠陥だと思う。ところが、最近の報道を見ていると、感情論と法律論がゴチャゴチャになっていて、ちょっと危険なモノを感じる。はたして土俵際で踏みとどまれるだろうか・・・

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2006年6月19日 (月)

地域ブランド

 この4月から商標法が改正されて、地域名と産品名を組み合わせた『地域団体商標』という制度ができた。 これは地域名とセットになった商標のことで、これまでは全国的知名度が条件とされていたため、『夕張メロン』『西陣織』など十数件しか認められていなかった。

 この改正で知名度要件が緩和されたので、各地の事業者組合などから出願が殺到している。喜多方ラーメン、魚沼産コシヒカリ、名古屋コーチン、神戸牛、長崎カステラ、琉球泡盛など全国に及んでいるが、圧倒的に多いのは京都の地場産業らしい。

 知人の話だと、京都は府、市、商工会などが一体となって取り組みを進めているから、気合いの入れ方が違うそうだ。しかし、一つの業種でも複数の事業者団体がいがみ合っていたりして、なかなか交通整理が難しいという。そして、いったん登録を認めると、アウトサイダーは模倣品として排除されるから死活問題に陥るのは必定だ。

 この制度は、地域産品の保護により地域経済を活性化するためのものだが、登録されたから売れるというわけではない。消費者に信頼され、魅力を感じてもらえるブランドにどう育てるか。本当の戦いは認定後に待っている。

 今回の特許庁の審査は、さぞ難しいだろうと思う。特定の団体にブランドを独占させるためには、その歴史的経過や消費者の認識なども細かく吟味しなければならず、単に早いもの勝ちというわけにはいかない。現に『八丁味噌』『但馬牛』などのブランドを、複数の団体が奪い合っている。双方の登録申請を却下するのは簡単だが、それだと新制度の意味はない。かえって争いの種を増やさないかちょっと心配だ。

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2006年5月19日 (金)

阪急と阪神

 阪急と阪神・・・ こんなのがくっついて本当にうまくいくのだろうか。

 大阪の人に聞いたら、たいていは首を傾(かし)げる。単にライバルというだけでなく、外から見てもイメージは正反対なのだ。

 先週、阪神電車に乗った。その数日後、阪急電車に乗った。そう思うせいかも知れないが、この二つは明らかに雰囲気が違う。一言でいえば、阪急はちょっと気取った印象。阪神は庶民的。同じ『御影』でも駅前の街並みはまるで違う。東京でいえば、阪神は京浜急行のイメージ。阪急はピッタリくるのがないが、東横線あたりでもう少し山が迫ったような感じ・・・

 阪急百貨店のエリートコースを走っている友達がいる。何年か前の同窓会で感じたのは、とにかく拡大路線の社風だ。店舗も増やしていくし、沿線開発も積極的。だから、バブル崩壊の傷みもあるだろうし、多額の含み損も抱えていると思う。

 一方の阪神。先日、阪神電鉄を中途退職した人に会った。彼曰くは「石橋を叩いても渡らない会社」。たしかに梅田店しかないし、新規出店のウワサも聞いたことがない。だから売上げは伸びないが、手堅く儲ける優良会社。資産活用も地味で株価も割安。これに村上ファンドが目をつけた。旧守主義の阪神社内は、今蜂の巣をつついたような大騒ぎになっていると思う。

 もし、阪急と阪神が経営統合されるとしても、それぞれの会社の名前はぜひ残してほしい。『強引な中和』はブランドイメージを損なう。よそ行きを着て他人(ひと)様への手土産を買うときは阪急だが、買い物カゴを下げてイカ焼きを頬張るのはやっぱり阪神。『阪急タイガース』では泥臭さがない。

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2006年5月 9日 (火)

会社は誰のもの

 一昨年の暮れ、友人が主催する異業種交流会で『会社は誰のものか』というテーマでパネルディスカッションをしたことがある。ちょうどライブドアとフジテレビの騒ぎが始まる前で、結果的にはその直後に注目を浴びるテーマを先取りする格好になった。

 参加者は40名ほどで、中小企業のオーナーが多い。討論会を始める前に、会社を株主のものと考えるか従業員のものと考えるかで左右に席を動いてもらった。

 前で司会をしていたボクは驚いた。ボクの予想に反して、半数以上の人たちが会社は従業員のものと考えていたのである。ボクはそれまで、オーナー経営者というのは『会社イコール自分』で、公私の区別のないワンマンな人という偏見を持っていた。でもそのときの彼らの真剣な眼差しを見ていて、ボクはある種の感動を覚えた。

 そして、ライブドアとフジテレビの一連の騒動、また今回の村上ファンドによる阪神株買収事件。ふとあの時の出席者たちの熱のこもった討論を思い出す。「会社というのは他人の金を使って事業経営するための仕組みで、最終的に守るべきは従業員だ」と言い切った経営者がいた。会社法の理念しか頭になかったボクは、目からウロコが落ちる思いでその発言を聞いていた。

 それが現実かもしれない。そしてもし社会全体の意識がそうだとしたら、村上ファンドが理屈だけで強行突破を図ったら痛い目に遭うだろう。これは、社会が未成熟だからというよりも、法律の虚構なのだろうか。

 いずれにしてもこの問題は今月がヤマ場。そして今日からセパ交流戦を迎えるタイガースも正念場。

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2006年4月19日 (水)

どぉ~する アイフル~

 アイフルが、強引な取り立てなど貸金業規制法の違反行為をしていたとして業務停止命令をうけた。

 数年前に、「腎臓売って金返せ!」というセリフですっかり有名になった日栄とかいう会社があったが、これも調べてみたらロプロと名前を変えてしっかり生き残っている。いくら高利でも、借りる人がいるからサラ金も商工ローンも繁盛する。ボクは冷たいようだけど、安易に借りる側にも問題があると思っている。ソフトなCMのイメージに騙されてはならない。しょせんはアコギな金貸しなのだ。 

 それにしても、あの「どぉ~する アイフル~」のCMですっかり有名になったオジさんを見ることはもうなくなるのだろうか。好きだったのになぁ・・・

 あのオジさんが最初に登場したのは、娘がペットショップで見つけたチワワと運命的に目が合ってしまったとき。「ペットを買うくらいのお金はアイフルで借りたら?」 ということだろうが、ちょうどその頃、娘にせがまれてポメラニアンを飼い始めたボクは、このオジさんに妙な親近感を持ってしまった。

 そしてこのオジさんとチワワの「ク~ちゃん」は一躍人気者になって、ペットブームを巻き起こす。次のCMはその娘の結婚式。オジさんは、ク~ちゃんにも上等のタキシードを作ってやる。「娘の結婚費用はアイフルで借りたら?」というメッセージだろう。

 次のシリーズでは、オジさんはマンションで一人暮らしをしている。娘を嫁がせた後、奥さんにも逃げられたのだろうか。そうしたら、いきなり ク~ちゃんがメス犬と大勢の子犬たちを連れて帰ってくるという予想外の展開。でも、このCMはいったい何を訴えているのか意味不明だった。

 その後のオジさんは、床にペンキ塗ったり、髪型を変えてみたり、スポーツジムに通ったり、あまり幸せには見えない。この先どうなるのか、ボクは密かに楽しみにしていた。

 そしたら突然の業務停止命令。CMは2ヶ月間自粛するらしいが、もうオジさんが戻ってくることはないだろう。ニュースを見ながらボクが真っ先に考えたのは、今後のオジさんの人生だった。

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2006年3月24日 (金)

体感温度

 久しぶりにコンビニに入ったら、ざるそばの品揃えが増えていた。まだ肌寒いこんな時期にざるそばが売れるのかと不思議に思うが、消費者は結構敏感で、少し春めいてくると急に冷たい麺類が売れ始めるものらしい。

 ずっと前に、セブンイレブンの鈴木会長が、消費と体感温度の相関関係の話をされたことがある。それによると、ビールは気温22℃、アイスクリームは25℃、かき氷は30℃を超えると急激に売れ始めるらしい。アイスクリームはさらに1℃上がる毎に売れ行きが10%ずつ増加して、32℃を超えるとアイスクリームから氷菓に伸びが転じる。清涼飲料水や麦茶も25度を境に売上げが急増する。ビールは、夕方の気温が25℃を超えた日は消費量が一気に伸びる。晴れた日で予想気温が30℃なら「ビール指数100」、同じ30℃でも雨だと指数は80に下がる。

 最近、コンビニのレジ横におでんが並んでいるが、これがいちばん売れるのは、真冬ではなく実は秋口だそうだ。「まだ残暑厳しい9月におでんなんて」と思うが、温度差が決め手らしい。9月になると、たまに急に気温が下がる日がある。朝の最低気温が5℃位いっぺんに下がると、実際の温度差よりも大きく下がったような気になって、この体感温度差でおでんが食べたくなるらしい。「寒いからおでんを食べる」のではなく、「寒くなってきたからおでんを食べる」のだ。

 近頃は、とにかく何でも商機が早い。12月になったとたんに冬物バーゲンが始まるし、2月になったら新入社員のスーツが並んでいる。少しでも早く売上を獲得しようとする頭のいい人たちがいて、われわれ消費者は上手く踊らされている。

 いっぽうで、これだけ温室モノや養殖モノが出回ると食べ物も季節感を失う。「食べたいときが旬」という人がいるが、スーパーも365日24時間開いているから、いつでも好きなモノを好きなだけ食べられる。かくいうボクも、真冬でも冷たいビールを飲んでいるし、真夏でも冷房を入れて鍋物をつついている。本当に好きなモノの消費は、巧みな宣伝文句や体感温度に関係ないのかもしれない。

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2006年3月18日 (土)

量的緩和

 日銀が『量的緩和の解除』を宣言した。

 最近の新聞でこの関連記事をよく目にするようになったが、『量的緩和』なんていう言葉は難しくて、何だかとっつきにくい。

 日銀の福井総裁は「非常に分かりづらい金融政策から、今後は分かりやすい政策に戻る」と表現した。本当にそうなったら嬉しいけど、金融用語はなかなか理解しにくい。

 もともと日銀は、公定歩合を調整して景気をコントロールしてきた。ところが、90年代後半から金利を実質ゼロにまで引き下げても景気が回復しないため、銀行が所有する国債などを買い取って市中に資金を流し始めた。つまり『金利の引き下げ』ではなく『市場に流れる資金量の増加』に戦略を切り替えたわけだ。そして、ようやく景気回復が軌道に乗り出したので、この異常な政策をやめて元に戻すというのが、今回の『量的緩和の解除』である。

 理屈はそういうことだ。では、この間の量的緩和でいちばんトクをしたのは誰か。それは間違いなく銀行である。不良債権の処理に喘ぎ、公的資金という血税を投入して、国家的見地から銀行を救済したのはつい6、7年前のことだった。

 あの頃の銀行は、金融庁や外資の影に怯えて風前のともし火だった。ところが、景気の底が見え出した2、3年前から、量的緩和の恩恵をモロに受け始めた。タダ同然の金利で預金者から金を吸い集めて、サラ金やクレジットなどに10%近い高金利で貸し付けるのだら、笑いが止まらない。

 この3月期は軒並み史上最高決算らしいが、さすがに世間の風当たりも強く、一部の銀行では本支店間の振込み手数料の無料化を打ち出した。そんなの当たり前だと思うが、知人にいわせると、同行間のATM振込みで手数料を取られるのは「セルフサービスのバイキングでサービス料を取られるようなもの」と手厳しい。

 他方で、ヤミ金に追われて一家心中なんていう悲しい話も後を立たない。ゼロ金利にため息をつく富裕層がいるいっぽうで、暴力的な高金利に震える失業者や老人たち。『ベニスの商人』の昔から、金貸しと利息は数々のドラマを生んできた。今回の日銀の政策転換で、また新しい幕が開く。

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2006年2月 8日 (水)

「投資」と「投機」

 一昨日の日経コラムに、松下幸之助翁のこんな言葉が紹介されていた。「投機はあかん。自分の家を建てるのに、土地を買うのはええ。株は、その会社を応援してもいいと思ったら買えばええ。人生と経営は賭け事ではないのやから・・」

 いい言葉だなぁ・・と感動して、その記事を切り抜いて手帳に挟んだ。実はボクも、先月から『俄(にわ)か株主』になって、コッソリ株価チャートを覗いている。景気も上向いてきたし、少し株で儲けてやろうかなんて色気を出して、夜中にインターネットを開いていたのだ。でも、この言葉には、頭をガツーンとやられたような衝撃を受けた。

 たしかに、『投資』と『投機』とは違う。

 『投資』とはその会社に対して資本を提供すること、つまり、出資してその会社の将来を買うことだ。当然、利益が出れば配当が受けられるが、倒産したら株券はただの紙クズになる。投資とは、その会社のオーナーになって経営に参加することをいう。イヌを飼うように、オーナーには愛情が必要だ。

 これに対して『投機』は、安値で買って高値で売ること、単に利ざやを稼ぐことが目的だ。競馬やルーレットと同じくギャンブルみたいなものだから、会社に対する思い入れなどは無用である。

 幸之助翁は、『株で儲ける』ということを潔しとしなかったのだと思う。そんなヒマがあったら、自分の生業をまっとうせよと言いたかったのだ。その論で考えると、昨年来の一連の買収騒ぎの本質はいったい何だったのだろう。ライブドアによるニッポン放送株買収の話にしても、オーナーとして本気で会社の経営に当たろうとしたのか、それとも単に株価を釣り上げて売り抜けようとしたのか、真相はよく分からない。

 ボクは、『モノ言う株主』の登場を、日本のぬるま湯的会社経営に風穴を開けるものとして好意的に考えてきたが、浅薄な考えを少し反省しないとならないかもしれない。投機が悪いとは断言しないが、会社の健全な発展のためには、短期の利ざやを狙うギャンブラーよりも、長い目で応援してくれるサポーターのほうがずっと有難い。

 「株を買うということは、愛情を持ってオーナーになること」、もう一度この意味を噛みしめて、あの騒ぎを反芻してみようと思う。

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2006年1月22日 (日)

ライブドアショック

 また今度は『ライブドアショック』という新しい言葉ができた。そして、ここ2,3日、そのライブドアショックで株が乱高下している。さらに東証のシステムダウンなどもあって、株式市場は大混乱の様相である。

 ジャスダックなど新興3市場の値動きを見ていると、ライブドアを初めとするIT関連株の下げ幅がキツい。にわか個人投資家の中には悲鳴を上げている人もあるようだが、昨年末からのミニバブルで少し上がりすぎたという気がしないでもない。

 ボクは自分では株をほとんどしないので、株の売買についての知識は持ち合わせていない。そして、この株と為替の値動きだけは、正直なところまったく予想がつかない。

 それでも、上場会社の決算内容などは多少の興味があるので、公表されている決算数値を眺めることはある。しかし、ライブドアなどのIT銘柄の決算内容は、数字を見ていてもさっぱり分からない。要するに、虚業なのだ。モノを作ったり、仕入れてきたモノを売ったりして利益を出すという事業ではなく、高い株価を武器に、M&Aと株式分割を繰り返して資金調達する『濡れ手に粟』のような経営手法はどこかおかしいと思う。ホリエモンはちょっと露出しすぎだし、世間の風当たりも強いから、ここで少しお灸をすえてもらってもいいかもしれない。

 でも、ライブドアは、ホリエモンがコケたらちょっと危ない。ただ、そうなると社会的影響が大きすぎる。万一上場廃止にでもなったら、4百億円以上の第三者割当て増資を引き受けたフジテレビの株券は紙屑になる。他人事ながら、心配してしまう。

 ところで、昨年秋の衆議院選挙でホリエモンがもし当選していたら、今回の強制捜査はあったのだろうか。落選した時点で、小泉さんから切り捨てられて、逮捕までの道筋は『想定の範囲内』だったような気もするけれど、ホリエモンの運命如何・・・

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2005年12月29日 (木)

ゆうパック

 ローソンやサークルKサンクスなどのコンビニ各社が、相次いで郵便小包『ゆうパック』の取り扱いを始めている。何度か使ってみたが、これはなかなか便利だ。

 まず、コンビニはどこにでもあるから、郵便局を探すよりもずっと早い。しかも、365日24時間営業しているので、土日や深夜でも持ち込める。料金も、同サイズの荷物で比較すると、これまでの宅急便より安いから、利用者にとったらいいことづくめである。

 昨年まではヤマト運輸の独占状態だったコンビニの宅配便は、ローソンがゆうパックにくら替えしたのを皮切りに雪崩現象が起きはじめた。そして、コンビニから締め出されたヤマト運輸は、国の優遇措置を受けながら勢力を拡大する郵政公社のやり方は『民業圧迫』だとして、法廷闘争に持ち込んだ。

 こうなると何だか難しい話になってくるが、われわれ利用者としては、安くて便利なサービスは大歓迎だ。たしかに、ヤマト運輸の主張にも肯けるところはあるが、不当廉売とか公正な取引とかいっても、最終的に守るべき法益は、『ライバル企業の商売』ではなく『われわれの国民生活』であるという大原則を忘れないでほしい。そして、公正な競争原理が働くことによって、商品やサービスの品質向上やコストダウンが期待できる。

 これまでヤマト運輸は、縦割り行政の規制に敢然と挑み、知恵と努力で新しいマーケットを切り開いてきた いわば『運送業界の雄』である。ここで弱音を吐かずに、利用者の立場に立って、もう一段の企業努力をしてもらいたい。そしてボクは、クロネコヤマトの看板が再びローソンの店頭に掲がって、ゆうパックを脅かす存在になる日を待ち望んでいる。いったんは引き下がったものの、あっと驚くような斬新なサービスを引っ提げて逆襲し、民間の底力を見せてほしい。ちょっと古めかしいが、『捲土重来』というのは、そんなときのための言葉である。

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2005年12月15日 (木)

アスクル

 時間のあるときに、よく文具店を覗く。ボールペンひとつにしても、いろいろな商品があって、実際に握って書いてみないと使い心地は分からない。だから、必ず自分で見て、気に入ったものを買う。

 でも、重たいコピー用紙や最初から品番が分かっているプリンターのトナーなどは、デリバリーサービスを利用する。これは、今のところ『アスクル』専門だ。アスクルのカタログは分厚くて(1,000ページ以上)、ヒマな時にパラパラ開いて眺めている。索引もあるのだが、文具の名前は意外と分かりにくく、探し当てるのは結構大変だ。たまたま開いたページで、重宝しそうな商品を見つけると嬉しくなるが、付箋をつけずにウッカリ閉じてしまうと、今度はまた探すのにひと苦労する。

 アスクルは、創業以来右肩上がりで業績を伸ばしているが、このビジネスモデルが優れている点が2つある。

 まず第一は、中小・零細事業所という巨大な『真空マーケット』に目をつけたこと。大企業には業者が注文を取りに来るが、小さな会社やSOHOは、これまでは自分で文房具屋に買いに行くしかなかった。実はこの中小企業マーケットは全体の95%を占めていて、圧倒的に大企業よりボリュームが大きいのだが、営業マンを回らせると効率が悪い。アスクルは、翌日配送を武器にして、このマーケットにカタログ通販で乗り込んだ。これがみごとに顧客のニーズに合致して、宝の山をあっさりと手中に収めたのである。たしかに、ボクたち利用者からいうと便利この上ない。夕方に発注したら、アスクル(明日来る)という名前の通り、たいてい翌日の午前中には届いている。

 二つ目は、商売敵(かたき)になるはずの街の文具店を、自らのビジネスチェーンの中に取り込んだこと。アスクルに最も脅威を感じたはずの小売店を代理店にして、お互いが利益をあげて共存できる いわゆる”win-winモデル”(両方が勝ち組になるモデル)を構築した。儲けを独り占めせず、無用の争いを回避したところなどは、日本的経営のお手本である。

 無駄な流通コストを上手に削ぎ落としたのが成功の秘訣のように言われているが、もっと大きな勝因は、顧客のニーズを巧みに捉えたことにあると思う。

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2005年11月28日 (月)

「管理」から「支援」へ

 昨日、異業種交流会に出席してきたが、その中で印象に残った話を2つ。

 一つは、メインスピーカーの話。講師の舘岡康雄氏は、日産自動車のエンジニアで、企業の中での「支援」を専門に研究して博士号をとられた方である。企業は、その経営スタイルを、従来の「管理型」から「支援型」に移行させていかないと生き残れないという。縦割り組織で明確に仕事の線引きをするよりも、境界を越えて協働することが重要で、同社では、研究部門と生産部門の相互支援によって、新車開発期間が大幅に短縮されたとか。そして、この「支援」というのは、企業組織だけでなく、教育、福祉、文化交流や国際協力に至るまで、新しい時代の大きなキーワードだという。技術屋らしく、データに基づいた理論的な話で、あっという間の1時間半だった。

 二つ目は、その後の懇親会での、神戸ワイン竹中社長の挨拶。協賛された今年の新酒の説明の中で、「ワインは、その土地に根づいたものです。是非、神戸の土の香りを楽しんで下さい。」という言葉が非常に印象に残った。ついつい本場フランスワインと比較しがちだが、小さくても自らの土俵を作って、そこで勝負しようという姿勢は素晴らしい。確かにいい出来です。皆さんもお試し下さい。

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2005年10月20日 (木)

株主というモノ

 阪神電鉄から始まって、今度はTBSの株式買収問題が世間をにぎわせている。ワイドショーも週刊誌も、当分はこの話題ばかりである。

 今回の話は、ちょっと前のフジテレビとホリエモンの問題と似ていて、いろいろと法律上の難しい問題を含んでいる。まあ、それは置いておくとして、ふと、「会社って、いったい誰のモノなんだろう?」 という素朴な疑問が浮かんだ。

 「株主に決まってるよ。」というのは会社法の建前だが、実態はさにあらず。大半の株主は投資家に過ぎず、会社経営には関心を示さない。そして現実には、経営者や従業員、さらには債権者、取引先、消費者など、会社をとりまく様々の利害関係者が存在する。そして、そのなかでいちばん会社に近く帰属意識やロイヤリティが強いのは、経営者と従業員である。彼らはみんな自社を「ウチの会社」と呼ぶが、株主がそんなことを言うのを聞いたことがない。法律の理念はともかく、会社とは 「事業家(経営者)が、不特定多数の人から株式という形で資金を調達して、自らが事業を行うための仕組みである」 と考えるほうが、現実に近いのかもしれない。

 株主は、出資した限度において、金銭的な責任しか負わない。会社が倒産しても、株券が紙切れになってしまうだけで、債権者に対してそれ以上の負担を求められることはない。また、会社が大事故を起こした際に、経営者には法的責任があるが、株主が被害者に謝罪するというのは見たことがない。

 この国には、「株主は、金は出すが、会社が儲けてくれたら経営方針には口出ししない。」という暗黙の了解があった。そして、その掟を破って見返りを求める一部の株主は、『総会屋』として断罪されてきた。そして今回の『モノ言う株主』騒ぎは、そうした安定株主に守られた緊張感の乏しい企業風土に大きな風穴を開けるものかもしれない。ホリエモンが一石を投じ、村上ファンド、楽天と続くと、日本の経営者たちも、株主対策をもう一度考え直さないとならないだろう。そして、この一連の騒動は、これからの大きな構造変化の予兆で、まだまだ幕は開いたばかりのような気がする。

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2005年9月30日 (金)

ガソリン高騰

 ガソリンスタンドでお金を払おうとしたら、8千円を越えていた。原油価格の高騰で、ガソリンが130円を超えたとニュースで報じられていたが、1回のガソリン代が8千円というのは初めてだ。

 でも、日本のガソリンは少し高すぎると思う。以前にアメリカでレンタカーを借りたとき、スタンドで給油したら、1ガロン当たり1.6ドルと表示してあった。そのときはピンと来なかったが、あとで計算したらリットル当たり50円以下だったと思う。資源の乏しい日本は、ガソリンの仕入れそのものが高いし、おまけに高率のガソリン税が課せられている。数年前、日本でガソリンが90円を切っていた頃、近所のガソリンスタンドの親父さんが、安売り競争でガソリンでは儲からず、廃業する同業者が多いと嘆いていた。たしかに、大阪市内でもガソリンスタンドは減っていて、不便を感じることも多い。最近アチコチで見かけるようになったが、セルフ給油にするとか、車を拭いたりするのをやめるとかして、コストを落としたらどうなのだろうか。

 ボクの場合は、せいぜい月に2、3回の給油だから、そんなに大きな負担感はないが、原油価格の高騰は、あちこちに大きな影響を与えているらしい。新聞を見ていたら、漁船に使う重油の値上がりで出漁回数を押さえているとか、ビニールハウスのボイラー燃料が高騰して生産農家を追い詰めているといったような記事が出ている。

 ところで、いつも分からないのは、石油のバーレルという単位。重さだか容量だかも知らなかったが、調べてみたら容量の単位で、158.9リットルのことらしい。バーレルの元々の意味は樽ということで、1950年代のアメリカで石油を入れるのにシェリー酒の空樽を使用したところから単位の名になったとか。 1バーレルあたり65ドルとかいわれても、ドルだって円に換算するのに時間がかかるのだから、分からない単位同士を組み合わせても理解できるはずがない。もうちょっと、素人にも分かるように工夫してもらえませんかネェ・・・

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2005年7月17日 (日)

ハンバーガー物語

 マクドナルドが値上げを発表した。長年の低価格戦略で悪化した収益を回復させることが目的らしいが、いまさら何を・・・ という気がする。

 ボクは今から10年ほど前まで、とある中堅ハンバーガーチェーンの経営に携わっていた。業界のリーデングカンパニーは、もちろん当時もマクドナルドである。マック(大阪ではマクド)は昭和46年に日本に上陸して、銀座に1号店を出店した。その後、ライフスタイルの洋風化の波に乗って、積極的な拡大を続けていく。そして、今から10年前には店舗数1,000店、売上2,000億円に達し、まさに外食産業の巨人ともいうべき存在だった。

 しかし、ちょうどその頃から消費者の健康志向が強くなってきて、ハンバーガービジネスは曲がり角を迎える。そんなときに、マックがとった戦略は「価格戦略」、つまり”100円バーガー”だった。他のチェーンは驚嘆し、追随すべきかどうか迷った。そして、ボクたちは、悩んだ末、安売りに同調せずコストパフォーマンスの高い商品開発をめざす戦略を選んだ。安売り合戦に飛び込むと、結局は体力勝負。マックの一人勝ちになることは容易に想像できた。負けることが分かっているのに、みすみす相手の土俵に乗ることはないだろう。ハンバーガーに100円しか出してくれないお客は、涙を呑んで捨てよう。そして 200円出してもいいから美味しいモノを食べたいという客層をターゲットに絞ろう。ボクたちは、そう決断したのである。

 日々の売上を獲得するためには、ノドから手が出るほどクーポンチラシを使いたい。でも、それは麻薬みたいなもので、その瞬間しか効果がない。安物のイメージが定着してしまうと、お客さんは安い時しか来てくれなくなる。長い目でみたら、体力を消耗するだけなのだ。同じ商品を安く売るよりも、高くても買ってもらえる価値のある商品を開発しよう。ボクたちはそう考えて、商品開発部門に重点的に経営資源を投入していく。

 あれから10年。ボクはその仕事から離れてしまったが、その会社は今も立派に生き残っている。そして、逆にその間に、価格競争に疲弊して消えていったチェーンもある。価格を前面に押し立ててきたマックは、売上こそ伸ばしているが、毎年利益を落としている。もし、ボクたちがあのとき価格に追随していたらどうなっていただろうか・・・   消費者は安いから飛びつくのではない。いくら不況でも、価格以上の価値があれば、必ずついてきてくれる。この10年で、ボクが身をもって実感した成功体験である。

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