持ち込み
たまに、コーヒーを飲む喫茶店がある。
平日の朝、同じ時間に行くと、同じ席に同じ客がいて、同じものを食べている。まるでそこだけ時間が止まっているような不思議な空間。
ボクが座るいちばん奥の禁煙席で、いつもコーヒーを飲んでいる客がいる。年の頃は40代半ばのサラリーマン風で、少しくたびれた背広を着ている。その彼がいつも、店員の目を盗むようにポケットから菓子パンを出して頬張る。トースト付きのモーニングセットなら350円、コーヒー単品なら180円の店だ。その菓子パンが好物なのか、それとも倹約してそうしているのかは知らない。
禁煙席はちょうど店員から死角になっているのだが、それにしても、いつも目を白黒させながら、瞬時に飲み込むように口に入れるのが哀れである。
数日前の昼食時のこと。たまたまクルマを停められる店が見当たらなくて、マクドナルドに飛び込んだ。隣席は子連れのヤンママ軍団で、まあ賑やかなこと。テーブルの上にはハンバーバーセットだけでなく、KFCのフライドチキンからたこ焼きまで並べている。彼女たちはまったく悪びれる様子もなく大声で笑い転げていて、店員も見て見ぬふり。
この店も、もちろん持ち込みはお断りのはず。菓子パンをコソコソ食べていたサラリーマン氏の表情がふと目に浮かんだ。はて、これって男女差なのか、それとも世代差なのか。
ついでに、先日の忘年会。いい日本酒が手に入ったので店で飲みたいと参加者のひとりが言い出した。ペットボトルに移してコッソリ持ち込んだらと、誰かが悪知恵をつける。でも、そんなことをしたらせっかくの酒が不味くなる。持ち込み料を払ってもいいからと店に掛け合ったら、店主に一杯飲ませるということで交渉成立。
やっぱり飲み食いは堂々としなきゃ~
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