悪食(あくじき)
昨夜の豪雨で少し涼しくなったかと思ったが、湿気が多くてジトジト暑い。
今日の夕食。
空豆と生ウニをつまみながら缶ビールを1本。その後、コノワタ(ナマコの腸の塩辛)とウナギの白焼きで、冷酒を重ねる。
ほろ酔いで考える。我々人類の食への好奇心というのは、大変なものだ。
生きたウナギを水族館で見ると、ヘビみたいにグロテスクな格好をしている。ヌルヌルして生臭く、とてもじゃないが食べようという気が起こらない。コノワタは日本三大珍味のひとつとされるが、こんな食材を喜んで食するのも相当の変わり者。
ウニにしても、ナマコにしても、最初に口にしたのはかなり勇気ある人だったにちがいない。よほど食べるものがなかったのか、それとも向こう見ずな食道楽だったのか。それにしても昔のグルメは命がけ。きっとフグや毒キノコで命を落とした連中もたくさんいただろう。
ナマコは南の海にいくらでもいる。いつだったかグアムで海に入ったら、足の下は不気味なナマコだらけ。日本のとは種類が違うらしく、生では食べられないと聞いた。
海にはさまざまな生物がいる。オコゼにシャコ、タコやイカ、極彩色の熱帯魚くらいまでは思い切って食べるとしても、順番からいうとナマコなんかはいちばん最後だろうと、そのとき思った。よくもこんな気味の悪いものを食べたものだ。人間がこの地球で生き残ってきた理由が分かる。
幼い頃、正月に父がよくお重に入ったナマコの酢の物を摘まんでいた。コリコリとした食感が面白かったが、ひと口で充分。それ以上子供の箸は伸びなかった。でも不思議なもので、酒を嗜む年齢になると、これが美味いと思えるようになる。
五十数年生きていると、いっぱしの悪食(あくじき)になる。今週末は、妹夫婦と沼島のハモ鍋を食べる予定。ハモの獰猛な面構えは、美味い肉をカモフラージュするためのものだろうが、そう易々と誤魔化されてなるものか。
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