袖の下
ある大手メーカーの下請けをしているKさんの話。
彼は、某車両工場内で、われわれがふだん乗っている地下鉄やJRなどの車両の一部を作っている。法人組織にはしているが、プレイングマネージャーの社長と、熟練工5、6人の零細企業。
同じような下請け数社で受注合戦になるらしいが、最後に勝負を分けるのは発注担当者とのコミュニケーションの濃淡。情報をいち早く聞き出したり、便宜を図ってもらったりするには、それなりの苦労がある。
「でも最後は現ナマなんですよ。」
とKさんは恐ろしいことをサラリと言う。仕事をもらう見返りとして、数パーセントの謝礼を発注担当者に渡すらしい。
「それは公務員だったら賄賂ですよ。そんなお金をもらったら、むこうの会社でも服務規程違反になるんじゃないですか?」
「いや、会社は見て見ぬふりをしてるんです。発注担当だけじゃないですよ。検査担当にも渡します。検査は何十項目もあって、ちゃんと付け届けをしておかないと意地悪されて検査が通りませんから…」
Kさんの会社は、こうしてオモテに出せない交際費がかかる。そしてこれはみんなKさんのポケットマネーから出る。中小企業の社長は大変だ。
今どきの言葉でいうと”パワハラ”。昨今は訴え出る場も用意されているが、でもまさかケンカまでする勇気はない。こんな人を、ボクは他にも何人か知っている。
「来月はお盆でしょ。盆暮れにはまたプラスαが必要なんです。」
今年は不況で夏のボーナスが減るらしいが、会社以外からこうやってせしめる輩もいる。こんなことがまかり通る世の中は、どうもおかしい。
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