明日香にて
仕事で奈良まで。
年に何回か京都や神戸には行くが、関西で暮らしていても奈良へ行くことは少ない。空港も新幹線もないから、東京からだと距離以上に遠く感じるだろう。でもそれが逆に奈良の良さでもある。
近鉄奈良駅から地上に出ると、登大路は広々として街は緑にあふれている。目の前には若草山。その麓あたりにどこかの伽藍が見える。そう思うせいか道行く人たちものんびりしていて、大阪みたいにセカセカ歩いていない。
思ったより仕事が早く終わったので、ちょっと明日香まで足を伸ばしてみた。
同じ奈良県とはいえ結構遠い。ローカル線を乗り継いで奈良盆地をコトコト南へ。車窓からは右に左に大和三山が現れる。近鉄吉野線の飛鳥駅まで 1時間ちょっとで 560円。大阪に戻るよりも遠くて高い。
明日香は子供の頃に何度か来ているが、今日の目的はまだ行ったことのない高松塚古墳。駅前でビジネスバッグを預けてレンタサイクル(1日900円)を借りる。できたらスーツも着替えたいところだが、そうもいかない。
道路はよく整備されていて、もらった地図を片手に快適なサイクリング。高松塚壁画館を見た後は、古い記憶を呼び起こしつつ、鬼の雪隠、鬼の俎などの奇石を巡りながら、気分よく石舞台まで銀輪を飛ばした。立派な駐車場が整備されていて、拝観料(250円)まで取られたのには驚いたが…
駅に戻る道、ケータイが鳴った。さすがに女子高生のようにはうまく取れず、自転車を停めて話をすることに。遠足の小学生の集団が賑やかにすれ違っていく。電話の相手がいぶかって、
「いったいどこにいるんですか?」
「いや充電中…充電中…」
すると何を勘違いしたのか、
「あっ!ゴメンなさい…」
いやいや充電しているのはケータイではなく、ボクの心と身体なのである。
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