ひな祭り
今日はひな祭り。
ボクが大学を受験したのは昭和48年。一期校の入試は3月3日から5日までの3日間だった。まだセンター試験も共通一次試験もなかった頃の話。前期とか後期とかややこしい日程もなかったが、当時の国公立大学は一期校と二期校に分かれていた。受験の機会を2度与えるということだったらしいが、学校格差を助長するという理由で数年後に廃止された。
友達と一緒に、前日から金閣寺近くの公営施設に泊まっていた。初日は粉雪が散らつく寒い日。宿舎で作ってもらった弁当を持って、市電で試験会場に向かった。厚手のランチコートにマフラーに手袋という重装備で出かけたが、教室内は暑すぎるほど暖房が効いていた。
そのときの問題用紙は、今でも捨てられずに残っている。退色したワラ半紙に活版印刷。今その問題を読んでも何のことやらさっぱり分からないが、たしかに自分の筆跡が走り書きのようにアチコチに残っている。こうして何十年も経ってから、過去の自分と対峙するのは懐かしく楽しい。
最終日。試験会場から出て深呼吸。空を見上げたら、重たそうな雪雲が比叡山の頂きを覆っている。生まれ育った大阪とは何となく違う空気に気づく。
友達数人と連れ立って、四条河原町の喫茶店に入った。当時流行りの熱いウインナーコーヒーをすすりながら、みんな無言で雑踏をボンヤリと眺めていた。この街で学生時代を過ごすのかという漠然とした思いが胸の内に湧いてきた瞬間である。まだ合格発表もないのに・・・
そして京阪四条駅に向かう道。不二家の店頭に、外(はず)し忘れたひな祭りケーキのポスターが掛かっていたような記憶がある。
今でもその不二家は健在。この店の前を通るたびに、その遠い記憶がよみがえる。
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